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顧客データ分析とは?定量・定性データ別の分析手法をご紹介

顧客データ分析は、ビジネスの成功に欠かせない要素です。企業間競争が激化する現代では、徹底した顧客体験(UX)の最適化と、そのための適切な顧客理解が不可欠となります。この記事では、顧客データ分析の概念、定量データと定性データによる分析手法、実際の活用事例などを詳しく解説します。

1. 顧客データ分析とは

顧客データ分析は、企業が保有する顧客の「属性情報」や「購買履歴」といったデータを分析し、顧客をより深く、そして適切に理解するために行う施策です。定量的な数値データと質的な情報データの両方を用いることで、顧客の本質をより深く掴むことが可能になります。

1.1 定量データとは

定量データとは、明確に数値として表現できる情報のことで、売上高や商品別の販売数、来店数、Webサイトのアクセス数などが該当します。定量データを分析することで、誰が何をいつどこで商品を購入しているのかを明確に把握できます。

1.2 定性データとは

一方、定性データは、数値には表しにくい質的な情報を指します。顧客が「なぜ商品を気に入ったのか」、「なぜ特定の商品を選んだのか」、「商品に何に不満を持っているのか」、「サービスにどんな印象を抱いているのか」などの情報がこれに該当します。

2. 顧客データの取得方法

定量データと定性データは、その性質上、取得方法が異なります。それぞれのデータをどこから集めるのかを理解し、必要な情報を効率的に取得しましょう。

2.1 定量データの取得方法

定量データは、顧客登録やアンケートなどから取得できます。また、統計データを販売している企業を活用するという方法もあります。自社で定量データを収集し分析するノウハウがない場合には、このような販売企業を活用してマーケティングに役立つデータを集めるのも効率的な方法と言えるでしょう。

2.2 定性データの取得方法

定性データは主にアンケートや口コミサイト、レビューなどで取得できます。多くの人々がインターネットに触れている現在では、公的なレビューサイト以外でもSNSやブログなど、定性データを収集できる場所が増加しています。

3. 顧客データを収集する際の注意点

顧客データはマーケティングの重要な材料ですが、同時に顧客の個人情報でもあります。扱い方を間違えると、無駄に作業工数がかかってしまったり、企業の信用問題に問われたりする可能性もあるため、顧客のプライバシーを預かっているという自覚を持って顧客データを有効活用しましょう。

3.1 データの保管方法

顧客データはプライバシー情報です。万が一流出してしまうと、責任問題に問われるだけではなく数多くの顧客をトラブルに巻き込む恐れがあるため、データの保管方法には細心の注意を払わなければなりません。セキュリティソフトの導入もおすすめです。

3.2 データの入力方法がバラバラ

顧客データの入力方法がバラバラになると整理する際に正しい数値が現れず、マーケティングに活かせるデータとして扱えなくなります。半角・全角やスペースのルールを徹底し、表記ゆれを防ぎましょう。

3.3 データの共有有無

定性・定量どちらの顧客データも、企業の方向性や事業計画を左右する非常に重要な材料となります。安易に末端までデータ共有してしまうと、流出の危険が増すだけではなく経営方針のブレが生まれる恐れもあります。

3.4 優良顧客かどうかを見極めるための情報がなにか決まっていない

幅広い購買層に対して顧客データを収集するのは大切なマーケティング戦略の一つです。しかし、やみくもに広範囲のデータを集めるのはコスト的にも時間的にも効率が良いとはいえません。顧客データによる分析は企業にとっての優良顧客を見極め、事業の発展に活かしてこそ生きるものなのです。

4. 顧客データ分析の代表的な手法

ここからは、顧客データ分析を行うにあたり、よく用いられる代表的な4つの手法を解説していきます。

4.1 セグメンテーション分析

セグメンテーション分析は、顧客の年齢や性別・居住地・行動パターンなどで切り分けることで、顧客をグルーピングする方法です。顧客データ分析の中では、もっとも導入しやすく初めての分析に適している手法です。

4.2 バスケット分析

バスケット分析とは、顧客の買い物カゴ(バスケット)の中身を分析する手法です。ECサイトであれば購入履歴、実店舗であればレジのPOSデータといった購買データを用いて分析を行います。

4.3 RFM分析

RFM分析とは、R(Recency:最近何を)・F(Frequency:頻度)・M(Money:購入金額)の3つの指標を用いて顧客を分析する手法です。

4.4 デシル分析

デシル分析は、購入履歴のデータから、全ての顧客の購入金額を高い順に10等分(デシル1〜10)して、各グループの購買データを分析する手法です。

5. 定量分析と定性分析の違い

定量分析と定性分析は、似ているようで異なる両者の違いやそれぞれの分析で把握できることを理解しておけば、より明確な分析を行うことができるようになります。

5.1 定量分析

定量分析とは「数値データ」をもとに行う分析のことです。アンケートの中で選ばれた性別や年齢といったような選択肢の数や、Google アナリティクスで分析できるPV数やセッション数といった数値として可視化された結果を基準として、そこからどれくらいの成長が見込めるのかを数値で表して設定したKPIにあわせて改善を行います。

5.2 定性分析

定性分析とは「質的データ」をもとに行う分析のことです。数値を結果とする定量分析とは対称的に、数値だけで表しきれない、ユーザーの心情を読み解きます。

6. 定性分析を行う主な手法

定性分析を行う際には、様々な手法が存在します。以下では、その主な方法について解説します。

6.1 ヒートマップ調査

ヒートマップ調査は、ユーザーがページ上のどこを主に見ているのかをマウスやスクロールの動きで解析することができます。

6.2 ソーシャルリスニング/自由回答型アンケート調査/ユーザーテスト

SNS上でユーザーの意見を拾い上げるソーシャルリスニング、ユーザーの生の声を自由に記述してもらう自由回答型のアンケート調査、ホームページのリリース前に一部のユーザーにテスト使用してもらうユーザーテストなど、ユーザーにも協力してもらって分析を行う手法です。

6.3 DMP

DMP(デジタルマーケティングプラットフォーム)を使用して分析を行う手法です。DMPではアンケート調査や購入データ、ユーザー情報など、インターネット上以外で取得したユーザーデータも1つにまとめて管理できるため、過去の情報を今後の展望を見据えるための材料として活用できます。

7. 顧客データ分析の活用事例

自社に蓄積された顧客データを分析し、実際のマーケティングに活用している事例をご紹介します。

7.1 ECサイトと実店舗のデータを統合・分析し、顧客の行動を明らかに

ECサイト「STRIPE CLUB」を運営する株式会社ストライプインターナショナルでは、ECサイトと実店舗の購入データを統合し、顧客が購入した商品やECサイトの利用の有無を分析しています。

7.2 顧客の購買データを分析し、売上アップを実現

日本に本社を置く飲料メーカー、ヤクルトでは顧客の購買データを集約・分析することで、オランダでの売上を15〜20%アップさせることに成功しました。

7.3 サイト上の行動データと、来店データを組み合わせることで接客満足度の向上に貢献

大手自動車メーカーA社では、Googleアナリティクスから読み取れるユーザーのサイト上の行動データと、来店データ(もしくは会員データ)を組み合わせることで、接客時のスタッフの満足度の向上や、受注確度のアップに繋げました。

8. 顧客データ分析の重要性

顧客データ分析は、自社の事業成長の要となる活動です。データに基づいて顧客を理解することによって、誰に・何を・いつ売れば良いかといった正しいマーケティング戦略を描くことが可能になります。

9. 顧客データ分析の課題

顧客データ分析には、実際の運用中には多くの課題が浮き彫りになります。「データベースに貯まっている顧客データを活用できていない」「分析をしたが、どのようにマーケティング施策に落とし込めば良いか分からない」といった課題が一例です。

10. まとめ

本記事では、顧客データ分析の基本的な概念、定量データと定性データによる分析手法、実際の活用事例などを詳しく解説しました。これらの情報を活用して、自社のビジネスをより効果的に推進し、成長を加速させていきましょう。

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